Renovation
海辺の暮らしを満喫海辺の古い一軒家を
自分らしく再生
「最初は土地を購入して家を建てることを考えてましたし、この時代の一般の住宅にはさほど興味がありませんでした。不動産屋さんに紹介された土地を見に行ったら、コンクリート造の四角い建物が残っていて、土地探しの段階から相談していた『カリフォルニア工務店』の建築家の岩切剣一郎さんと、むしろこの建物を活かしたほうがカッコいいよねという話になりました。結果、古い家の持つ温かみを生かした、自分らしいビーチハウスにリノベーションできたと満足しています」
天井を抜いて壁材をはがし、白くペイント。配管はあえて露出させ、古材のフローリングとコンクリートの床を適所に配して、米軍住宅や南国の家を連想させる、気持ちのいい空間に生まれ変わった。
海沿いの暮らしを満喫
今はすっかり湘南の暮らしを楽しんでいる奥様だけれど、おふたりとも東京の出身ということもあり、都心を離れてここに引っ越すことに抵抗があったそうだ。
「しかも最初にこの家を見にきた時、砂壁で天井も低く暗い印象だったので、妻は大反対(笑)。でもリノベーションで、ここまで明るく変えることができて大満足です」
今では扉に色を塗ってヤスリをかけて味を出したりと、裕子さんも積極的に家作りに参加している。
「海辺の家は実はやることが多いんです。強風が吹くとガラスに潮が吹くので洗い流さなければいけないですし、植物も潮を洗い流してやらないと枯れてしまいます。僕は東京まで通勤しているので朝は大忙しです(笑)」と麦人さん。
「朝は日の出とともに起きて家族でビーチを散歩しながら、流木を拾い集めたりして楽しんでいます。周囲に子どもが遊ぶ場所がたくさんありますし、近所の方々とのお付き合いも楽しいですし、自然を身近に感じられますし……もう都心には戻れないですね(笑)」と裕子さん。
潮騒を聞きながら贅沢なバスタイム
「実はここが一番リノベーションの費用がかさんだ部分なんですが、どうしても気持ちのいいバスルームを作りたくて」と笑う麦人さん。家族で入れる大きなバスルームを作った。
目の前に家はなく、ここから見える防砂林の向こうは海。人目を気にすることなく、解放感と、贅沢な眺めを満喫できる。
パーティが前提の1階のキッチン
友人たちがたくさん集まる梅本家。特に夏は毎週がガーデンパーティとなる。
「1階はパーティをする前提の作りになっています。庭とキッチンが近く、キッチンで準備したバーベキューの材料を持って庭に出るのも簡単です。そのまま庭で食べたり、1歩中に入ってテーブルで食べたり、キッチンのカウンターで飲んだり。友人たちには自由にやってもらっています」
キッチンはイケアのもので作ったので、材料費を安く抑えられたそう。古材を張ってもらって、雰囲気のあるカウンターが出来上がった。
「高校時代をアメリカで過ごしたこともあって、ほんとは家の中も土足にしたいと思っているんです。子どもがもう少し大きくなったら、この件、さらに前向きに考えます(笑)」
各部屋の天井に、シーリングファンがついている。
「窓を開けると潮風が気持ちいいので、夏でもクーラーがいらないんです。自然の風の中で過ごせるのは気持ちいいですね」
設計 岩切剣一郎(カリフォルニア工務店)
所在地 神奈川県藤沢市
構造 コンクリート造
規模 地上2階
延床面積 144.1m2