Renovation

鉄骨造の長所を引き出すリノベアイアンとウッドの
経年変化を楽しむ家

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動線を考えた家づくり

中野駅至近の便利な場所に建つ鉄骨3階建ての戸建てを購入したYさんご夫妻。
リノベーションはランドスケーププロダクツに依頼した。
「ランドスケーププロダクツが運営するインテリアショップ『プレイマウンテン』が大好きで、よく通っていました。そのランドスケーププロダクツが個人宅のリノベーションを手掛けていると知り、すぐにコンタクトをとりました。
デザイナーの片山貴之さんは、ざっくばらんに会話をする中で、好きなものややりたいことを的確に拾って形にしてくださいます。インテリアを含め、思い描いていたイメージ以上の家になりました」

なかでも、Yさんが大切にしたことのひとつに、“動線”があったそう。
「たとえば、波乗りから帰ってウエットスーツをどこで洗って、サーフボードをどこに置くか。脱いだ洋服はどこに仕舞うか。家に帰って鍵をどこに置くか。そんなふうに動きを考えながら間取りを決めていく過程がとても楽しかったです」
もともとは外階段で上がった2階に玄関がある家だったが、動線を考え、外階段を外して1階に玄関を作り直したのだそうだ。
「とても暮らしやすい家になりました」


1階はもともと倉庫として使われていたのだそう。玄関のモルタルを奥まで伸ばし、土間のように使えるスペースに。オーク材を貼った壁面に自転車ラックを設置。階段は新設した。
1階はもともと倉庫として使われていたのだそう。玄関のモルタルを奥まで伸ばし、土間のように使えるスペースに。オーク材を貼った壁面に自転車ラックを設置。階段は新設した。
1階に、サーフィンから帰ってきてすぐにウエットスーツやボードを洗えるシャワーブースを作った。「砂をここでしっかりと落とします」
1階に、サーフィンから帰ってきてすぐにウエットスーツやボードを洗えるシャワーブースを作った。「砂をここでしっかりと落とします」


玄関脇に鍵などを収納できるBOXを作った。「家に帰ってきてここに鍵をしまう。出かけるときはここから持ち出す。動線を考えて、必要なものを考えました」
玄関脇に鍵などを収納できるBOXを作った。「家に帰ってきてここに鍵をしまう。出かけるときはここから持ち出す。動線を考えて、必要なものを考えました」


木+鉄の経年変化を楽しむ

広い空間を作ることができる鉄骨造の建物の良さを生かし、2階に広々としたリビングとキッチンを作った。

「天井の内装材をはがしてみたら、鉄骨が見えたので天井は現しにしてもらいました」
階段も鉄骨造の質感を生かしたデザインにして、インテリアにアイアン+ウッドの統一感をもたせている。

「鉄や木など、時間とともに自分たちと一緒に育ち、味わいを楽しめる素材が好きです。キッチンの白ラワン材の面材は、かなり赤っぽく変化してきました」
床は無垢のオーク材を使っている。ヘリンボーンやパーケット、乱尺張りなど、リビングや寝室、廊下で張り方を変えて楽しんでいる。


ソファやローテーブルはランドスケーププロダクツが制作。床材は無垢のオーク材のオイル仕上げ。
ソファやローテーブルはランドスケーププロダクツが制作。床材は無垢のオーク材のオイル仕上げ。
ブラインドはハンターダグラスのものをチョイス。柔らかな光を室内に取り入れながら、外の建物からの視線は遮ることができる。窓枠の下にはナラ材を張った。アアルト、タピオ・ウィルカラ、フリッツ・ハンセン……お気に入りのイスを一脚づつ並べている。
ブラインドはハンターダグラスのものをチョイス。柔らかな光を室内に取り入れながら、外の建物からの視線は遮ることができる。窓枠の下にはナラ材を張った。アアルト、タピオ・ウィルカラ、フリッツ・ハンセン……お気に入りのイスを一脚づつ並べている。
ダイニングテーブルもランドスケーププロダクツのオリジナル。天板は3階の書斎の床材に使ったヘリンボーンのオーク材。
ダイニングテーブルもランドスケーププロダクツのオリジナル。天板は3階の書斎の床材に使ったヘリンボーンのオーク材。
キッチンの吊り戸棚やアイランドキッチンの腰板は、白ラワン材の突板を使っている。キッチンの天板は熱い鍋などもそのまま置けるステンレスに。「ヒースタイルを使ってみたいとも思いましたが、そこは敢えて引き算のデザインにして、シンプルな白のタイルにしました」 
キッチンの吊り戸棚やアイランドキッチンの腰板は、白ラワン材の突板を使っている。キッチンの天板は熱い鍋などもそのまま置けるステンレスに。「ヒースタイルを使ってみたいとも思いましたが、そこは敢えて引き算のデザインにして、シンプルな白のタイルにしました」 
お気に入りのものを飾っている棚とたっぷりの緑の組み合わせが美しい。「ここに越す前は植物には興味がなかったのですが、いまはすっかりハマっています(笑)」
お気に入りのものを飾っている棚とたっぷりの緑の組み合わせが美しい。「ここに越す前は植物には興味がなかったのですが、いまはすっかりハマっています(笑)」
「普段なかなかTVを見る時間がとれないので、風呂に入りながらTVを見たいという希望がありました。ならばユニットバスのほうがいいだろうということになり、片山さんにメーカーのショールームまでお付き合いいただきました」
「普段なかなかTVを見る時間がとれないので、風呂に入りながらTVを見たいという希望がありました。ならばユニットバスのほうがいいだろうということになり、片山さんにメーカーのショールームまでお付き合いいただきました」


水槽の中にはペットのナマズくん。「空腹の時に餌をねだる姿が可愛いです」
水槽の中にはペットのナマズくん。「空腹の時に餌をねだる姿が可愛いです」


居心地が良すぎて外出したくない!?

3階には、寝室、書斎、ゲストルームの3部屋がある。
「寝室の壁の一部にオーク材を張りました。ベッドのヘッドボードとしての役割も兼ねています」

使い勝手や素材感など、細かな部分までこだわって作ったYさんの居心地のいい住まい。
「居心地が良すぎて家から出たくなくなります。
3階に冷蔵庫を置きたいとも思ったのですが、これ以上便利すぎるのは良くないと思いやめました(笑)。
ゆっくり家に居たいと思える住まいを作ることができて、これ以上の幸せはないです」


北側斜線制限のため斜めになっている壁が、巣ごもり感のある寝室になっている。テラスにはたくさんのグリーンが。
北側斜線制限のため斜めになっている壁が、巣ごもり感のある寝室になっている。テラスにはたくさんのグリーンが。
2階から3階への階段は既存のものを使った。
2階から3階への階段は既存のものを使った。
美しいデザインのアイアンの手摺り。玄関を1階に移動したので、1階から2階への階段は新設した。
美しいデザインのアイアンの手摺り。玄関を1階に移動したので、1階から2階への階段は新設した。


3階のゲストルームは、いつでも友人が泊まれるように、美しく整えられている。
3階のゲストルームは、いつでも友人が泊まれるように、美しく整えられている。


(建築家クレジット)

ランドスケーププロダクツ
所在地 東京都中野区
構造 鉄骨造+RC造
規模 地上3階