Style of Life

ワンルームのような一体感 家族が自然と集まる
大空間の三角屋根の家

家族5人が暮らす理想の家づくり

川崎市の眺めの良い高台に建つ中川さん邸。大規模に開発された分譲敷地のため、周囲には同じくらいの大きさの家が立ち並んでいるが、シンプルながらも個性的な三角屋根がひときわ存在感を放っている。2020年3月に竣工したこの住まいには、中川さんご夫妻、7歳の長女、5歳の次女、1歳の長男の5人家族が暮らしている。

「以前はこの住まいの近くの戸建ての借家に住んでいました。いつかは自分たちの家を持ちたいと考えていて、ちょうど長女の小学校入学のタイミングで新たな住まいづくりを始めました」という中川さん。土地はお子さんが保育園に通える範囲の住み慣れたエリアから探し、購入した。

中川さん邸の設計を担当したのは、設計事務所「IYs inc.(イノウエヨシムラスタジオ株式会社)」の井上亮さん。
「建売の住宅も選択肢として検討していたのですが、やはり注文住宅が良いなと思い、不動産屋さんから井上さんを紹介してもらいました。他の会社にもプランを依頼していただいのですが、井上さんから提案されるプランは、想像もつかない、普通では考えられないようなユニークなプランで、とても気に入りました」(中川さん)。

ウォークインのシューズクロークを設けた玄関。ゆとりのある広さで使い勝手も良い。
ウォークインのシューズクロークを設けた玄関。ゆとりのある広さで使い勝手も良い。
家の中央に設けた階段から2階LDKへ。
家の中央に設けた階段から2階LDKへ。
1階のスペースは、お子さん達がまだ小さいため、当面の間は仕切らずに広々としたプレイルームとして活用。
1階のスペースは、お子さん達がまだ小さいため、当面の間は仕切らずに広々としたプレイルームとして活用。
1階の洗面スペース。壁にはセメントの質感を活かした建築素材「SOLIDO」を使用し、シックな雰囲気に。
1階の洗面スペース。壁にはセメントの質感を活かした建築素材「SOLIDO」を使用し、シックな雰囲気に。
階段を少し見上げれば、視界には奥行きのある2階の空間が映る。
階段を少し見上げれば、視界には奥行きのある2階の空間が映る。

家族が集まる開放感のあるリビング

ご夫妻が希望したのは、家族みんなが自然と集まるような開放感のあるリビング。「空間を仕切るのではなく、ワンルームのような空間を希望していました」という中川さん。IYs. Incの井上さんは、この要望を受け、1階に寝室や水回り、収納をまとめ、2階をワンフロアのLDKとして、最大限の広さを確保した。
「柱のない勾配天井で、ここまで広いワンルーム空間は構造的にも非常に難しいのですが、開放感をつくるため、あえて提案させていただきました。ポイントのひとつとして、階段を家の中心に配置し、その周りをぐるっと回遊できるようにすることで、家族が多くても、パーソナルな居場所がたくさんあるような感覚が生まれるように目指しました」(井上さん)。

また、内装だけではなく、中川さん邸の特徴である三角の切妻屋根の外観にも井上さんのこだわりが込められている。
「斜線の制限があるため、それに合わせてつくると、普通は屋根の三角のバランスが非対称になってしまうのですが、かわいらしい見た目になるように軒の高さを低くして、三角屋根を正対象にしています。その影響によって、各フロアの天井高は低くなっていますが、2階やロフトは屋根によって天井が高い部分と低い部分があり、その高低差によって、同じひとつの空間でも、雰囲気が変わるのがこの家の面白いところだと思います」(井上さん)。

メインの生活空間である2階LDK。階段を中心にドーナツ状にぐるりと回遊できるようにすることで、ワンルームながらもそれぞれのスペースの居心地を確保した。
メインの生活空間である2階LDK。階段を中心にドーナツ状にぐるりと回遊できるようにすることで、ワンルームながらもそれぞれのスペースの居心地を確保した。
「家族が自然と集まるような開放感」というご夫妻の希望を実現したリビング。
「家族が自然と集まるような開放感」というご夫妻の希望を実現したリビング。
リビングの一角にはお子さん達の勉強スペースとして造作のカウンターテーブルを配した。
リビングの一角にはお子さん達の勉強スペースとして造作のカウンターテーブルを配した。
平面を対角線に分割した最上階のロフト。勾配天井によって低いところ、高いところが交わり、空間に奥行きを与えた。
平面を対角線に分割した最上階のロフト。勾配天井によって低いところ、高いところが交わり、空間に奥行きを与えた。

家族のつながりを感じられる家

中川さんご家族がこの家で暮らし始めてから、もうすぐ1年が経とうとしている。
「以前の住まいと比べても、とても暮らしやすくなりましたね。子どもたちも家中をぐるぐると走り回ったりして、楽しそうにしています。家のどこにいても、子どもの声が聞こえるので、安心感もあります。またリビングは広々と開放的なので、子どものおもちゃなどが散らかっていても、あまり気にならなくなりました」と微笑む中川さん。

各フロアが分断されることなく、家族のつながりを感じられる一体感のある住まいを実現した中川さん邸。
最後にこれから楽しみなことについて伺うと、「これからはテラスをもっと活用していきたいなと考えています。たまに外に出て、子どもが遊んだり、夏には数回バーベキューなどもしたのですが、子どもたちがもう少し大きくなったら、椅子やテーブルなどを置いたりしたいですね」という中川さん。これからも家族の成長とともに、この住まいで家族の思い出が紡がれていくことだろう。

キッチンとダイニングテーブルは利便性を考慮し、横並びに配置した。またダイニング横の大きな窓も、テーブルの高さに合わせて配置。「ダイニングで過ごすことが多いので、この窓は特に気に入っています。眺めもとても良いです」(奥さま)。
キッチンとダイニングテーブルは利便性を考慮し、横並びに配置した。またダイニング横の大きな窓も、テーブルの高さに合わせて配置。「ダイニングで過ごすことが多いので、この窓は特に気に入っています。眺めもとても良いです」(奥さま)。
キッチンの壁は、洗面スペース同様に「SOLIDO」を使用し、グレーの色調で落ち着いた雰囲気に。
キッチンの壁は、洗面スペース同様に「SOLIDO」を使用し、グレーの色調で落ち着いた雰囲気に。
家の正面側にある大きな窓からは、子ども達が遊ぶ様子も見守られる。
家の正面側にある大きな窓からは、子ども達が遊ぶ様子も見守られる。
家づくりにおいてご夫妻が希望していたという広いテラス。高台の立地のため、景色は抜群。
家づくりにおいてご夫妻が希望していたという広いテラス。高台の立地のため、景色は抜群。
正対象になるように考慮した三角屋根が印象的な中川さん邸の外観。
正対象になるように考慮した三角屋根が印象的な中川さん邸の外観。

中川さん邸
施工 株式会社サカエ建設
意匠設計 Inoue Yoshimura studio Inc.(イノウエヨシムラスタジオ株式会社)
構造設計:川田知典構造設計
所在地 神奈川県川崎市
構造 木造
規模 地上2階建
延床面積 97.70㎡