Architecture
バスタブはリビングに一軒家の醍醐味とは
縦に大きな空間を作れること
「それほど広くない土地で、いかにゆったりとした空間をつくるか。それがこの家づくりのテーマでした。そのために考えたのが“住まいの断捨離”です。まず廊下は要らないですし、仕切りも不要。風呂は必要な時にシャワーカーテンで囲えばいいじゃない、と(笑)」
できあがったのが、1階の土間にバスタブがポンと置かれたユニークな家。
「この家で暮らして3年になりますが、この風呂は風通しがいいのでカビなどに悩まされることがありませんし、冬は加湿の役割も果たしてくれます。風呂上がりにそのままソファでくつろげますし、いいことばかりでしたね」
「お風呂に入っていると外を歩いている人の話し声が聞こえたりして、引っ越してきた当初はドキドキしながら使っていましたが、今ではすっかり慣れました。長いシャワーカーテンが揺れる、我が家ならではのバスタイムを楽しんでいます」と奥様。
建物の幅いっぱいの開口部が作る大空間。
縦に大きな空間のある家を作りたかったという柳沢さん。念願かなって、モルタル仕上げの土間に、バスタブとシャワーが置かれたユニークなリビングが完成した。バスルームを囲うシャワーカーテンが、5メートルある天井の高さを魅力的に演出する。
「土間は、たとえばバイクやクルマが好きな方ならガレージ風に使うのでしょうけれど、僕はソファを置いて、ここをリビングとして使うことにしました」。
かくしてバスタブのすぐ横にソファのある個性的な空間ができあがった。
「夏は2階より、冷んやり涼しい1階に居ることが多いです。季節によって快適なリビングを使い分けられるのも楽しいですね」
吹き抜け部分にはキャットウォークが作られていて、1階を上から眺めることができる。キャットウォークには、大きな吹き抜けを強くする、構造上の役目も持たせているとのこと。
ここに引っ越してからちょうど3年目。構造用合板を使った壁の色にも暖かみが出てきた。
「白い壁があまり好きじゃなかったのと、外断熱の家なので合板の上に断熱材を貼る必要もなかったので、内装材を貼らずに合板をそのまま見せる仕上げにしました」
「ここにこれくらいの深さの引き出しがあると便利だというキッチンを作る際の知識が役に立ちました。換気扇はあえて目立つように作りました。食堂っぽいキッチンが作りたかったんです」
床と、ウッドデッキと、芝生を同じ高さにすることで、リビングと一体感の感じられるテラスができあがった。海まで歩いて5分という場所ならではの、材木座の眺めを楽しめる。
「都心のマンションに住んでいた時は、家は寝るだけの場所でしたが、ここはなにしろ空間が気持ちいいので長い時間家で過ごすようになりました。中二階を和室にする予定なのですが、その計画を錬るのも楽しいですし、実はまだクローゼットに引き戸をつけていないのでそれをどんなものにしようかとか、あそこに絵を飾りたいとか、まだまだこの家は完成されていないので、そんなことを考える時間がとても楽しいんです」
設計 アーキテクトカフェ・田井幹夫建設設計事務所
所在地 神奈川県鎌倉市
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 103.14m2