Architecture
都会の真ん中でくつろいで暮らす緑と光と風と
遊びのある家
くつろげる家
東横線の学芸大学駅から数分の敷地に建つI邸。I夫妻から建築家へのリクエストのひとつは「どこでもくつろげる家」だった。I邸は床面積が300m2を超える邸宅だが、この「どこでもくつろげる」には、「家族がどこでも寝られる」さらに「来客もゴロゴロと寝られる」という意味合いもあり、「それがとにかく印象的」だったと、設計を手がけたK+Sアーキテクツの佐藤さんはいう。
自然と一体化した家
駅に近いだけでなく商店街も近く、建物が密集して建つという立地。そういう場所にあって、くつろげるだけでなく、さらに「自然と一体化した家」という要望もあり、自然との関係も勘案しながらの計画となった。
「せっかく広い土地を購入したので、単に広いだけではなくて、四季を感じた暮らしがしたかった」と奥さん。
建物の長手方向の東側に2つつくられた庭のひとつにはオリーブの木が植えられ、洋風のイメージでつくられた。建物を挟んでその西側部分につくられた庭はマホニアコンフューサなどが低めにまとめられて和の雰囲気を醸し出す。
2階のダイニングはその両方に挟まれている。窓を開ければ風も良く通るというこのスペース、たしかに、光と緑を存分に感じ取ることができて気持ちが良く、奥さんは木の床でごろんと寝てしまうこともあるというのが頷ける。
家具や照明を北欧系のものでまとめたこのダイニングは、その床も少し淡いナチュラルなテイストの色合いで、リラックス感を演出している。
遊べる家
このダイニングに隣接したスペースに目を引く場所がある。ウッドデッキを敷いたコートに面した子どもたちのためのスペースに、家型のボックスが置かれているのだ。
家の中に家がある……そんな印象のこのボックスは「遊べる家」という要望から生まれたもの。「自由な発想で家づくりを楽しまれていましたね」と佐藤さん。
「なにか仕掛けがあったほうがいいかなと思って。ツリーハウスではないですが、梯子が上からぶら下がっていて、2階と3階がつながっていても面白いかなと。結局、上とはつなげませんでしたが、子どもたちは屋根に上って遊んだりしています」(奥さん)
開かれた家
都市部の住宅ではとかく外部に対して防御的・閉鎖的になりがちだが、この家ではそうしたつくりは避けたいということから、外壁のところどころを外に対して開いたりなどの工夫がなされた。その姿勢をさらにはっきりと感じ取ることができるのが、地下レベルに位置するスタジオスペースだ。
スタジオがオープンしているときには、ゲストルームとスタジオのためにつくられた扉が開けられていて、通りから中で何をしているかを眺めることができる。まさに街へと開かれた家なのである。
設計 K+S アーキテクツ
所在地 東京都目黒区
構造 鉄筋コンクリート造
規模 地上3階+地下1階
延床面積 361.04m2