スタイルの違う2軒の家ひとつの敷地に建つモダン邸宅と校倉造のアトリエ

スタイルの違う2軒の家ひとつの敷地に建つ
モダン邸宅と校倉造のアトリエ

学校を卒業してすぐに、両親がリタイア後に住む家の設計をした建築家の町田泰彦さん。設計事務所などでの修業の経験を経ずに、学校で習った知識をフル回転し設計した、モダンなフラットルーフの建物が、ここ益子の明るい雑木林の中に建つ。

そして次に同じ敷地内に建てたのが、角材を積み上げて作った校倉造のアトリエ。その後、3軒目の家を建てるのだが、その高床式の9坪ハウスが以前にここで紹介させてもらった建物だ。


最初に建てた、フラットルーフの大きなモダン建築の邸宅。

最初に建てた、フラットルーフの大きなモダン建築の邸宅。

同じ敷地内に、自ら木づちをふるい、校倉造のアトリエを建てる。

同じ敷地内に、自ら木づちをふるい、校倉造のアトリエを建てる。


大きなモダン建築と、小さな校倉造の家。

「家ってなんだろう、モダン建築とはどういう意味を持つものなのか、この別荘を設計し、深く考えるようになりました。そして、図面を引いて設計する建物ではなく、大工さんと一緒にカラダでサイズ感を感じながら家を作ってみたくなって、同じ敷地内に校倉造の家を建てたんです」

もちろんクライアントに提案する時には、きちんと図面を引いて、模型を作る。けれど、自分のための家は、材料を発注するために簡単な図面を一枚引いただけで、あとは角材を一本一本積み上げ、カラダで家作りを体感しながら作っていったのだそうだ。


大きな吹き抜けが開放的なリビング。引き戸の窓は全開できる。

大きな吹き抜けが開放的なリビング。引き戸の窓は全開できる。

引き戸を開け放てば、2階でも森の中にいる気分を堪能できる。

引き戸を開け放てば、2階でも森の中にいる気分を堪能できる。

キッチンからのリビングの眺め。

キッチンからのリビングの眺め。

外回りはグルリと回廊で結ばれている。ウッドデッキの下は収納スペースになっている。

外回りはグルリと回廊で結ばれている。ウッドデッキの下は収納スペースになっている。


窓をすべて開け放てば、森の中にいる気分に。

フラットルーフの家の建具はすべて引き戸になっている。テラス側と、反対側の玄関側の引き戸を開け放てば、リビングにいても森の中でタープの下でくつろいでいる気分を堪能できる。

外回りはグルリと回廊で結ばれ、回廊のウッドデッキの下は収納スペースになっている。庭仕事に使うものや、車のタイヤなどは、ここにすっきりと収めることができる。

「父親がリタイアして引っ越してくることが決まり、9坪ハウスへと移りました。敷地内別居ですね。ただ、父親は不在のことも多く、いい季節になると友人が数泊、のんびりしにきますよ。うちらもお風呂の時にはこちらを使わせてもらっています」


益子の木工作家・高山英樹さんの作ったテーブルで、クライアントとの打ち合わせも。奥に立てかけてあるのは、古い建具のストック。

益子の木工作家・高山英樹さんの作ったテーブルで、クライアントとの打ち合わせも。奥に立てかけてあるのは、古い建具のストック。

古い左の2脚の椅子はピアノ用のもの。右の低座椅子は長大作のデザイン。照明は、木工作家の安彦年朗さんの作品。

古い左の2脚の椅子はピアノ用のもの。右の低座椅子は長大作のデザイン。照明は、木工作家の安彦年朗さんの作品。

角ログの家は断熱材を使わなくても、冬暖かく、夏は涼しい。それでも厳冬期はこの薪ストーブが活躍する。

角ログの家は断熱材を使わなくても、冬暖かく、夏は涼しい。それでも厳冬期はこの薪ストーブが活躍する。


杉材の角ログを使った校倉造のアトリエ。

校倉造のアトリエは、地元で生産された杉の角ログが使われている。

「4寸角の角材は、日本で多く流通しているサイズです。益子の大工は、寸・間といった日本の単位を使います。この単位で家を建てると、古い引き戸や窓ガラスなど、日本の建具を使いやすいというメリットもあります」

この家は、99%が木材でできているそうだ。

「家は、雨風をしのいで、家族や生活を守れるものであればいいと思う気持ちもあるんです。僕の子どもたちの世代が、この家を大事に使い続けてくれればうれしいですが、もし不要であれば、負荷をかけることなく朽ちて、この土地に戻っていけるようなものであればいいなと思っています」

いずれ自然に還ってゆく……。そんな儚さがあるから、この家がとても美しいのかもしれない。


天井もさることながら、屋根も木で葺いている。床に入れた断熱材も含めて屋根のルーフィング以外全ての材料が木でできている。

天井もさることながら、屋根も木で葺いている。床に入れた断熱材も含めて屋根のルーフィング以外全ての材料が木でできている。

壁は積まれた角材が縦方向に打った杭によってズレないようになっている。隅は風が吹き込まないように入れ子に組んでいる。

壁は積まれた角材が縦方向に打った杭によってズレないようになっている。隅は風が吹き込まないように入れ子に組んでいる。

那須在住の鉄作家、中澤恒夫さんに特注した雨どい受け。「実はまだ雨どい受けをつけただけで樋はなし。この状態で4年が経ってしまいました(笑)」

那須在住の鉄作家、中澤恒夫さんに特注した雨どい受け。「実はまだ雨どい受けをつけただけで樋はなし。この状態で4年が経ってしまいました(笑)」