ミラノ・サローネ特集2014  -2-進化を重ねて歴史となるイタリアンデザインの未来

ミラノ・サローネ特集2014 -2-進化を重ねて歴史となる
イタリアンデザインの未来

開催地がミラノであるという理由を抜きにしても、サローネの主役はやはりイタリアのメーカーだ。なかでも70年代から80年代にかけてイタリアンデザインという名の下に斬新でともすれば家具としての規範を逸脱しかねないほどの作品を発表してきた各社は、すでに今、老舗の域に入りつつある。しかし今年もまた、その歩みをとめず、改良も重ねながら常に新しいものに挑戦している様子が顕著に見られた。それこそサローネの原動力であり、イタリアンデザインの未来を担っているのである。


Bonaldo ボナルド

テーブル「Gap」Alain Gillesデザイン。名前の意味は「開くこと、スペース」。ポイントは上に向かう程開いた2本の“刃”で構成される脚。

テーブル「Gap」Alain Gillesデザイン。名前の意味は「開くこと、スペース」。ポイントは上に向かう程開いた2本の“刃”で構成される脚。


ほどよいデザイン性と多様性
絶妙のバランスで暮らしを彩る

イタリアの職人の凄いところは、技術向上はもちろんのこと、そこにオリジナリティをどう組み込んでいくかに腐心する点にある。ボナルド社は、金属加工の職人であった創業者が持ち前の創意工夫力で木やガラスといった異素材も扱う家具メーカーへと成長させたという、典型的な職人型企業だ。もとが職人だから、デザイン性と機能性の両立を目指すのは当たり前、あとはどんなデザインを採用し、どのようなライフスタイルを提案するのかでカラーが決まる。ボナルドの製品は、極端なデザイン性を追求することなく、あくまでもちょっとしたユニークさ、暮らしのなかにほんの少しユーモアをもたらすという路線を貫いている。見ていて楽しく、しかし気疲れしない、それがボナルド社製品の特徴だ。


テーブル「Octa」Bartoli Designデザイン。その名のとおり、8本の脚を組み合わせている。箸を使って遊んでいた時にアイディアが生まれたという。

テーブル「Octa」Bartoli Designデザイン。その名のとおり、8本の脚を組み合わせている。箸を使って遊んでいた時にアイディアが生まれたという。

テーブル「Tracks」Alain Gillesデザイン。「線路」を表す二本の金属製の伸張軸棒をあえて見せることでデザインのポイントとした。

テーブル「Tracks」Alain Gillesデザイン。「線路」を表す二本の金属製の伸張軸棒をあえて見せることでデザインのポイントとした。

ユニットシェルフ「April, May, June」Gino Carolloデザイン。部屋のアクセントとなる棚。単品、もしくは組み合わせることで遊ぶ。

ユニットシェルフ「April, May, June」Gino Carolloデザイン。部屋のアクセントとなる棚。単品、もしくは組み合わせることで遊ぶ。

ライブラリー「Note」Mario Mazzerデザイン。五線譜がモチーフ。「どんな本、ものを置くかで自由にメロディを奏でてほしい」とのこと。

ライブラリー「Note」Mario Mazzerデザイン。五線譜がモチーフ。「どんな本、ものを置くかで自由にメロディを奏でてほしい」とのこと。


Clei クレイ

子供や若い人向けのユニット収納家具を得意とするクレイ社。明快な色づかいと70年代を思わせるデザインが新鮮。

子供や若い人向けのユニット収納家具を得意とするクレイ社。明快な色づかいと70年代を思わせるデザインが新鮮。


理想的な子供部屋とは?
子供大好きイタリア人が出した答え

イタリア人は子供が大好きである。そんな彼らが本気で理想的な子供部屋とは何かを考えた結果が、クレイ社のYoungシステムだ。曰く、子供部屋とは単にスペースがあればいいというものではなく、そのスペースが目的(遊び、勉強、休憩等)によってさまざまに変化することが大切である。その変化を自在に、つまり、家具の組み替えが簡単にできたり、1つの家具が別のものとしても機能するようにシステム化したのが同シリーズである。一見して明るい色づかい、ポップなデザインはいかにも子供向けという感じだが、じっくり見てみると実に良く研究されていることがわかる。これを考えた大人たちこそ、子供のように目を輝かせながら仕事をしているのだろう。因に、大人向けのLivingシステムもあるが、色づかいはやはりヴィヴィッドだ。


Clei クレイClei クレイ

「Cabrio」シリーズ。デスクを閉じればスペースができ、ベッドを引き出すこともできる。

「Cabrio」シリーズ。デスクを閉じればスペースができ、ベッドを引き出すこともできる。

「Kali DuoBoard」シリーズ。2段ベッド。
「Kali DuoBoard」シリーズ。2段ベッド。

「Kali DuoBoard」シリーズ。2段ベッド。

「Kali Theatre」シリーズ。
「Kali Theatre」シリーズ。TVのついたウォールをスライドさせてベッドを引き出す。TVは角度を変えてベッド上でも見られる。

「Kali Theatre」シリーズ。TVのついたウォールをスライドさせてベッドを引き出す。TVは角度を変えてベッド上でも見られる。


Laurameroni ラウラメローニ

「Cirque」コレクションよりBartoli Designデザイン。鏡面、マット、クリスタルとさまざまな表面仕上げで展開するシリーズ。オブジェのようだが実体は収納家具。

「Cirque」コレクションよりBartoli Designデザイン。鏡面、マット、クリスタルとさまざまな表面仕上げで展開するシリーズ。オブジェのようだが実体は収納家具。


加工技術の高さを物語る
面のデザインバリエーション

エントランスに据えられた何本かの柱状のものは、果たして家具なのか単にオーナメントなのか。そう思って足を止めた人はすでにこの世界の虜になっている。ブースの中にはソファ、カップボード、照明などが一見するとばらばらのテイストで並んでいる。しかし、見ているうちに1つの世界観で統一されていることがわかってくる。デザイナーが“美しい”と感じた線や面が忠実に実現されているからこそ達成された世界観。そしてそれは同時に職人の手仕事による高い技術力の証となっている。北イタリア・コモ近郊でデザイナーが中心となって2000年に立ち上げられたラウラメローニ社は、当地の職人とともに孤高の美を追求するメーカーだ。


「Elements」コレクションよりMark Andersonデザイン。真鍮パネルを組み合わせた照明。組み合わせの変更も自在。

「Elements」コレクションよりMark Andersonデザイン。真鍮パネルを組み合わせた照明。組み合わせの変更も自在。

「Decor」コレクションよりBartoli Designデザイン
「Decor」コレクションよりBartoli Designデザイン


「Decor」コレクションよりBartoli Designデザイン。面材のユニークさがラウラメローニ社の特徴の1つ。
「Maxima」コレクションよりBartoli Designデザイン。
「Maxima」コレクションよりBartoli Designデザイン。


「Maxima」コレクションよりBartoli Designデザイン。木製カップボード。木の種類、サイズともにカスタムメイド可能。
「Elements」コレクションよりMark Andersonデザイン。真鍮製テーブルランプ。

「Elements」コレクションよりMark Andersonデザイン。真鍮製テーブルランプ。

「Stars」コレクションよりBartoli Design。ウォールナット材のカップボードの部分。表面をメタル仕上げ。

「Stars」コレクションよりBartoli Design。ウォールナット材のカップボードの部分。表面をメタル仕上げ。


Moroso モローゾ

「Doge」Giorgia Zanellato&Daniele Bortottoデザイン。ヴェネツィアの水と建物のカラーイメージを表現。

「Doge」Giorgia Zanellato&Daniele Bortottoデザイン。ヴェネツィアの水と建物のカラーイメージを表現。


今年注目のデザイナーは
昨年のサテリテ出展者

ユニークな才能を持つ若手デザイナーを積極的に発掘することで有名なモローゾ。展示ブースはいつも最先端を知ろうとするデザイン学生や偵察の同業者でごった返す。さまざまなデザイナーが覇を競うさながら展覧会だが、そのデザインは共通して陽気で茶目っ気すら感じさせるのがモローゾらしさだ。お馴染みのデザイナーや過去の人気作品も並んでいるが、今年の目玉は、昨年のサテリテに出展していたヴェネツィアのデザイナー2人組によるソファ。サテリテは素朴な手作りから商品化即可能な完成度の高いものまで、言葉は悪いが玉石混淆な若手デザイナーの発表の場だが、そのなかから確実に面白いものを引っぱって来るのがさすがモローゾである。


「Doge」の特徴はテキスタイルの色表現にある。イタリアのテキスタイルメーカーRubelli社とのコラボレーション。
「Doge」の特徴はテキスタイルの色表現にある。イタリアのテキスタイルメーカーRubelli社とのコラボレーション。


「Doge」の特徴はテキスタイルの色表現にある。イタリアのテキスタイルメーカーRubelli社とのコラボレーション。

「Conduit」Jorg Shellmannデザイン。ソフトなブロックソファのボリュームとそれを支える細いメタルチューブのコントラスト。名前の由来はPeter Halleyの絵画「Cell and Conduit」。

「Conduit」Jorg Shellmannデザイン。ソフトなブロックソファのボリュームとそれを支える細いメタルチューブのコントラスト。名前の由来はPeter Halleyの絵画「Cell and Conduit」。

「Oasis」コレクションAtelier Öiデザイン。曖昧で景色に溶け込むようなデザインは、ミラージュ(蜃気楼)を彷彿させる。蜃気楼のなかに現れるオアシスを表現したかったという。

「Oasis」コレクションAtelier Öiデザイン。曖昧で景色に溶け込むようなデザインは、ミラージュ(蜃気楼)を彷彿させる。蜃気楼のなかに現れるオアシスを表現したかったという。

「Diatom」Ross Lovegroveデザイン。軽量なアルミニウム製でありながらステンレスと同等の堅牢さ。デザインは海辺に生息する珪藻類からインスピレーションを得た。140324_salone2_027

「Diatom」Ross Lovegroveデザイン。軽量なアルミニウム製でありながらステンレスと同等の堅牢さ。デザインは海辺に生息する珪藻類からインスピレーションを得た。140324_salone2_027

「(love me)Tender」Patricia Urquiolaデザイン。量感のあるクッションを支える骨組みはアルミニウム、脚は独立した木製。プリミティブな水上家屋のイメージ。

「(love me)Tender」Patricia Urquiolaデザイン。量感のあるクッションを支える骨組みはアルミニウム、脚は独立した木製。プリミティブな水上家屋のイメージ。


Kartell カルテル

プレシャス・カルテルの今年のテーマはゴールド。

プレシャス・カルテルの今年のテーマはゴールド。


煌めくゴールドとテーブル回帰
プラスチックで表現する時代の気分

今年のカルテルは、一段とまばゆい光に溢れていた。アクリル樹脂特有の光沢を活かし「プレシャス・カルテル」と称して煌めく世界を作り上げてきた同社は、既存のコレクションのゴージャス感をさらにアップ、ゴールドやシルバー、ブロンズカラー仕上げの椅子、テーブル、照明などを多面展開。バブル時代よもう一度、というわけでもないだろうが、景気復活と現在世界経済を牽引する中国、ブラジルそしてアラブへのオマージュが感じられる。また、40年ぶりのテーブル回帰も今年の重要テーマの1つで、ミラノの有名シェフがイメージコンセプトを提供したコレクションは、カルテルの新しい一面を見せた。歩んできた道を振り返りながら未来を探る、それが創業65年を迎えたカルテルの節目の決意のようである。


「Masters」シリーズ。ゴールド、クロムメッキ、チタン、銅の4カラー展開。

「Masters」シリーズ。ゴールド、クロムメッキ、チタン、銅の4カラー展開。

「Sparkle」スツール、「Twinkle」カフェテーブル、ともに吉岡徳仁デザイン。
「Sparkle」スツール、「Twinkle」カフェテーブル、ともに吉岡徳仁デザイン。


「Sparkle」スツール、「Twinkle」カフェテーブル、ともに吉岡徳仁デザイン。

「Battery」Ferruccio Lavianiデザイン。充電式テーブルランプ。コードレスなので必要な時に必要な場所に置ける。フル充電で9時間使用可。

「Battery」Ferruccio Lavianiデザイン。充電式テーブルランプ。コードレスなので必要な時に必要な場所に置ける。フル充電で9時間使用可。

「I.D.Ish by D’O」レストラン「D’O」のシェフ、ダヴィデ・オルダーニがプロデュース。指紋=IDが、料理のアイデンティティを暗喩。材質はプレートがメラミン、グラスとカトラリーはアクリル樹脂。

「I.D.Ish by D’O」レストラン「D’O」のシェフ、ダヴィデ・オルダーニがプロデュース。指紋=IDが、料理のアイデンティティを暗喩。材質はプレートがメラミン、グラスとカトラリーはアクリル樹脂。

「Panis.B.」ミラノの有名シェフ、アンドレア・ベルトンがプロデュースしたパン皿。材質はメラミン。

「Panis.B.」ミラノの有名シェフ、アンドレア・ベルトンがプロデュースしたパン皿。材質はメラミン。

「Grace K」カルテル・ア・ラ・モードシリーズより、ショルダーバッグ。材質はポリ塩化ビニル。

「Grace K」カルテル・ア・ラ・モードシリーズより、ショルダーバッグ。材質はポリ塩化ビニル。

「Over-Saints」Ludovia e Roberto Palombaデザイン。バスルームコレクション「Kartell by Laufen」より。

「Over-Saints」Ludovia e Roberto Palombaデザイン。バスルームコレクション「Kartell by Laufen」より。


Poltrona Frau ポルトローナ・フラウ

ポルトローナ・フラウの代名詞的存在はアームチェア。展示会場に必ず登場する「Vanity Fair」。

ポルトローナ・フラウの代名詞的存在はアームチェア。展示会場に必ず登場する「Vanity Fair」。


クラシック家具の老舗が挑む
名品へのあくなき改良

イタリアの最高級皮革家具メーカー、ポルトローナ・フラウ。厳選の素材、職人による手仕事をうたうメーカーは多いが、同社は呆れるほどにその姿勢を徹底し、それが他の追随を許さない高品質を生んでいる。そして、デザインテイストとしてはクラシックながら、常に見直しの手綱を緩めず、名品と言われるシリーズにも改良をほどこしてより高い完成度を目指す。今回は、50年代ポストモダン黎明期を体現するタワーシェルフ「アルベロ」、アームチェア「カヴール」、「DU30」などが改良復刻版として並んだ。そのほか、リビングソファやベッドなど、シンプルで軽やかなデザインの新作も登場。奇を衒わぬ方向性は変わらないが、進化する老舗の風格を指し示していた。


「Albero」Fianfranco Frattiniデザイン(50年代末終わり)。4本の支柱に2本の橋脚、2方向にラックレールがつき、8から12個の棚を支える。本体はカナレット・ウォールナット材。

「Albero」Fianfranco Frattiniデザイン(50年代末終わり)。4本の支柱に2本の橋脚、2方向にラックレールがつき、8から12個の棚を支える。本体はカナレット・ウォールナット材。

「DU30」Gastone Rinaldiデザイン(1953年)。復刻版の背と座面は皮革製。前面は手縫い。

「DU30」Gastone Rinaldiデザイン(1953年)。復刻版の背と座面は皮革製。前面は手縫い。


「Cavour」Vittorio Gregotti、Ludovico Meneghetti、Giotto Stoppinoデザイン(1959年)。80年代にポルトローナ・フラウのコレクションとして登場。

「Cavour」Vittorio Gregotti、Ludovico Meneghetti、Giotto Stoppinoデザイン(1959年)。80年代にポルトローナ・フラウのコレクションとして登場。

「Babel」Roberto Lazzeroniデザイン。キャスター付きで部屋のどこにでも簡単に移動できる。

「Babel」Roberto Lazzeroniデザイン。キャスター付きで部屋のどこにでも簡単に移動できる。

「Nivola」Roberto Lazzeroniデザイン。軽快でフェミニンなライン。骨格は無垢のトネリコ、皮革はポルトローナ・フラウオリジナルで、外側はクオイオ・サドル、内側はペッレ・フラウ。

「Nivola」Roberto Lazzeroniデザイン。軽快でフェミニンなライン。骨格は無垢のトネリコ、皮革はポルトローナ・フラウオリジナルで、外側はクオイオ・サドル、内側はペッレ・フラウ。


Cappellini カッペッリーニ

色彩を統一し、白、青、茶、モノトーンなど色別に空間をコーディネート。デスクチェアはJasper Morrisonデザイン「Lotus De Luxe Attesa」。

色彩を統一し、白、青、茶、モノトーンなど色別に空間をコーディネート。デスクチェアはJasper Morrisonデザイン「Lotus De Luxe Attesa」。


テーマはアウトサイダー
家具界のストリートアートを提案

暗く落とした照明のなかに、国や時代を感じさせない無機質な建物の部屋が幾つか並び、それぞれの部屋はどこか南の国をイメージしたプリミティブな色に染められている。絞った光は、ブースの色に溶け込んでだ家具を照らし、家具であるはずなのに、もう1つ別の存在感を持った異質な美しさを引き出している。カッペッリーニの今年のテーマはストリートアート、脚光を浴びる前の原石のような可能性を秘めたデザインの提案だ。アウトサイダー的なものが、ほどなくしてモードとなり、やがてスタンダードとなるかもしれないが、まずはそれを見いだして呈示することが我々の役目である、というのが、イタリアンデザインを牽引してきたカッペッリーニが自負するところだ。


「Cap Chair 2」Jasper Morrisonデザイン。昨年発表されたCap Chairのリモデル。より低く、コンフォタブルな設計。キャスターがついた可動ラウンジチェア。

「Cap Chair 2」Jasper Morrisonデザイン。昨年発表されたCap Chairのリモデル。より低く、コンフォタブルな設計。キャスターがついた可動ラウンジチェア。

「Thinking Man’s Chair」リミテッド・エディションJasper Morrisonデザイン。

「Thinking Man’s Chair」リミテッド・エディションJasper Morrisonデザイン。

「Peg Sofa」Nendoデザイン。昨年のPegアームチェアから発展したソファ。

「Peg Sofa」Nendoデザイン。昨年のPegアームチェアから発展したソファ。

 「Peg Mirror」Nendoデザイン。穴を開けたことによって構造が見え隠れするところがポイント。
 「Peg Mirror」Nendoデザイン。穴を開けたことによって構造が見え隠れするところがポイント。


「Peg Mirror」Nendoデザイン。穴を開けたことによって構造が見え隠れするところがポイント。


Driadeドリアデ

「Piccoli Palazzi」Alessandro Mendiniデザイン。没個性的な空間にインパクトを与えるのがこの家具の役割。ミラノ的ゴシック風味が特に主張している。

「Piccoli Palazzi」Alessandro Mendiniデザイン。没個性的な空間にインパクトを与えるのがこの家具の役割。ミラノ的ゴシック風味が特に主張している。


強い視覚的インパクトを求め
過去に根ざし未来を見つめる

先鋭的で強烈な個性を放つデザイン家具、といえばドリアデ。存在するだけでその場の雰囲気を決定するほどのアクの強さは、好むと好まざるに関わらずデザインというものの本質を物語る。自らを“美学のラボラトリー”と称し、1968年の創業以来、究極のデザイン美を求めて実験と研究を重ねてきたという姿勢は今も変わらない。今年のその端的な例は、アレッサンドロ・メンディーニの三原色を用いたシェルフ「ピッコリ・パラッツィ」だろう。部屋のなかに小さなパラッツィ(屋敷)を建てるという発想は、子供の頃に遊んだテントや建物を模した遊具を思い出させる。ともすれば幼稚なアイディアを、そうと断罪せずに大人の視覚センスに耐えられるまでに磨き上げるところがドリアデの“優れた”独善である。


「LouRead」Philippe Stark, Eugeni Quitlletデザイン。カルロ・モッリーノと50年代デザインへ捧げたオマージュ作品(2010年)。

「LouRead」Philippe Stark, Eugeni Quitlletデザイン。カルロ・モッリーノと50年代デザインへ捧げたオマージュ作品(2010年)。

「Basalt」Fredrikson Stallardデザイン。ドリアデが提案する彫刻的家具の1例。火山岩の一種basalt(玄武岩)をイメージ。

「Basalt」Fredrikson Stallardデザイン。ドリアデが提案する彫刻的家具の1例。火山岩の一種basalt(玄武岩)をイメージ。

「Herve」Lievore Altherr Molinaデザイン。エクステリア向けのソファシリーズ。

「Herve」Lievore Altherr Molinaデザイン。エクステリア向けのソファシリーズ。

「anapo」Gordon Guillaumierデザイン。ローテーブルシリーズの1つ、サイドテーブル。

「anapo」Gordon Guillaumierデザイン。ローテーブルシリーズの1つ、サイドテーブル。

「Luckystar」(照明)、「rikka」(アームチェア)ともにMaurizio Galante&Tal Lancmanデザイン。
「Luckystar」(照明)、「rikka」(アームチェア)ともにMaurizio Galante&Tal Lancmanデザイン。


「Luckystar」(照明)、「rikka」(アームチェア)ともにMaurizio Galante&Tal Lancmanデザイン。
「Embrasse」Atelier Oïデザイン。背中とアームの両方から支えられているという絶対的な安心感と、スタッキング可能という機能性がポイント。

「Embrasse」Atelier Oïデザイン。背中とアームの両方から支えられているという絶対的な安心感と、スタッキング可能という機能性がポイント。

ミラノ・サローネ特集、続きはこちら

ミラノ・サローネ特集 第1回「木とデザイン」
ミラノ・サローネ特集 第2回「イタリアデザインの未来」
ミラノ・サローネ特集 第3回「キッチンの可能性」
ミラノ・サローネ特集 第4回「イタリアン・キッチン」
ミラノ・サローネ特集 第5回「サローネ・サテリテ・アワード」
ミラノ・サローネ特集 第6回「サローネ・サテリテの注目作品」